かたじけないズ
Live at SHIBUYA HOME 2024.06.07
大学時代からの友人、えび沢くんをプロデュースしている。彼は独自の個性的な哲学を有し、ひとたび口を開けば、日常の些細なことから深刻な社会問題までもが、持ち前のユーモアによっておもしろい話に昇華されてしまう。大学を卒業する頃、そんな彼に共同で活動をしないかと持ちかけたのが、このプロジェクトの始まりである。彼にはギターの覚えがあったことと、私のデスクトップに音楽制作ソフトウェアが入っていたことから、音楽ユニットを立ち上げることにした。

彼の書く詞にはユーモアがある。それは気を衒った単発的なアイデアのユーモアではない。その一節一節で選択された言葉の音のリズムと意味の重なり合いを味わっていくことで、全体のバランスの中に感じ取ることのできるものである。私は活動全体のマネジメントからプロデュース、レコーディングに編曲やミックス作業、最終的にそれらの曲を発表するウェブサイトの制作を通して、彼の作る歌をどのような形で曲として定着させ、提示するのがいいのかを模索する。音楽と会話劇をひとつの作品の中に同居させ、それらが絡み合うことで物語が浮かび上がる『街角のうた』、曲ひとつひとつにアイデアが凝縮され、短編集のような形態をとった『コモレビモレビボスモレビ 』、アルバム『街角のうた』レコーディング風景の音やアウトテイクなど雑多な音源をまとめた『多摩の地下道』の3作品を公開している。

この活動は、学生時代を図書館の地下書庫に篭って過ごした私にとって、遅れてやってきた青春のように感じられる。

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